社長メッセージ
人の心を揺さぶる"驚き"を届けたい
「感動だけが、人の心を撃ち抜ける」
この企業理念には、とにかく人を驚かせたいという想いが込められています。人は想像を超えた発想や、価値観を覆されるような体験に直面すると、「驚き」という衝撃が生まれて心が揺さぶられる。それと同時に笑いや涙が誘われるわけですが、驚きこそが人の心に突き刺さる感情です。
だから笑わせるでも、喜ばれるでもなく、世界中を驚かせたい。その一心でモノづくりをしてきました。
エンターテインメントを通じて驚きを生み出すことで、アミューズはこの世の中の「刺激剤」「発信体」になれるのだと思っています。絶えず何かしらの気づきを提供し、また次の発信を期待してもらえる。アミューズは、そんな会社であり続けたいと願っています。
約50年続いてきた奇跡と、いま抱いている危機感
アミューズがこれまで約半世紀にわたり活動を続けられてきたことを、私は奇跡に近いことだと感じています。エンターテインメント業界という変化が激しく厳しい世界において、その波に飲み込まれることなく走り続けてこられた背景には、間違いなくアーティストや社員たちのたゆまぬ努力と挑戦があります。彼らと共に様々な困難を乗り越えてきたことを誇りに思っています。
しかしながら近年、私たちが強みとしているはずのチャレンジ精神、熱量、行動力といったものが、かつての勢いを失いつつあるのではないかと、強い危機感を抱くようになりました。私が再び社長に就任した大きな理由は、私自身がもう一度現場の最前線で"挑戦者"となり、組織に刺激を与えたかったからです。もちろんこれからの挑戦は成功ばかりではないかもしれません。でも、アイデアと熱量を持って新しいことに挑むということを、自らが先陣を切ってやっていきたい。そして、社員にも果敢にトライしてみて欲しい。
安定した快適な環境にいると、私たちはどうしても挑戦を避けてしまいます。しかしその安堵感は錯覚なのだと、目を覚まして欲しい。挑戦を力に前進し続ける、強い集団に変えていきたいと思っています。
エンターテインメントは、問題意識から生まれる
私が長年エンターテインメントと向き合ってきて確信しているのは、モノづくりの出発点は、必ず問題意識にあるということです。世の中の矛盾や不安から日常のちょっとした気づきまで、その起点は様々ですが、鈍感な状態だと問題意識を持てません。日本という国は、とても安全で居心地が良い。その快適な環境に慣れ過ぎてしまうと、変化の兆しにも気づきにくくなってしまう。それが、理由もない安堵感に包まれて、あらゆる問題を見過ごしてしまう鈍感さにつながっているように思います。ある問題に対して何かのメッセージを発信したいという強い想いさえあれば、そこにアイデアと、実現するための行動力が湧いてきます。でも、問題意識に欠けてしまうと、エンターテインメントというモノづくりができない。これは昨今私が非常に懸念している点です。
「問い」があれば、表現の形は音楽、映画、演劇、飲食、観光など、ジャンルは様々な形があっていい。ただ単に楽しい、面白いだけではなく、そこに「考えさせられるきっかけ」があるからこそ、人の心に響くのだと思います。社会にある問題を捉えてエンターテインメントを通して問いを投げかけること。それがアミューズの使命だと思っています。
「イベント」を軸に、会社を再起動させる
アミューズには創業以来、リアルな場での感動を追求する「ライブイズム」という言葉があります。私たちのアイデンティティとも言えるこの言葉に今一度立ち返り、「イベント」を軸にさらなる驚きを生み出せる組織として再起動させていきたい。そのために音楽ライブや演劇などの舞台はもちろんのこと、言語や文化を超えた様々な体験を、今の時代に合わせて多数仕掛けていきたいと考えています。
イベント制作は社員にとってはモノづくりの本質を学ぶ実践の場でもあります。アイデアと行動力を持つ人間が中心となり、仲間を巻き込み、年代を超えた対話を通してお互いを刺激し合いながら「プロデューサー」として成長していくのです。イベントには強い個人と強いチームを生み出す力があると私は考えています。
ファミリー感を見つめ直す
「アミューズは家族的な会社ですね」とよく言われます。その言葉は、信頼や絆を感じさせる一方で、私はどこか違和感も覚えていました。 確かにアーティストと社員が共に支え合ってきたからこそ、約半世紀という長い歴史が築けたのだと思います。でも"家族的"という社風が、時として閉鎖的で排他的な空気を生み、変化を拒む体質につながってしまうこともある。 だからこそ、今、私はその家族っぽさを見直して再構築したいと考えています。個性豊かな挑戦者たちが、お互いをリスペクトしながら切磋琢磨できる組織。世界中の豊かな才能や、多様な業種と、もっとオープンに向き合える組織。自由でありながらも、支え合える関係性。強い個が集結したチームとしてのファミリー感を模索していきたいと思います。
私たち一人ひとりが力強い挑戦者となることで、時代と共に進化し続けるアミューズとして再始動します。次の半世紀も、モノづくりと真摯に向き合い、社会に問いを投げかけ、常に驚きで世界を揺さぶる存在でありたいと願っています。
今後のアミューズグループにご期待いただくとともに、より一層のご支援を賜りますよう、よろしくお願い申しあげます。
代表取締役会長 兼 社長
大里 洋吉