One Young Worldでの体験が未来を切り拓く(後編) ―「One Young World Summit 2022」参加者・小仁井茅春インタビュー

今年の"One Young World Summit 2022"にアミューズから初の"スピーカー"として参加した第12プロデュース部所属・小仁井茅春(こにい ちはる)。スピーカーは開催国のアジェンダに合わせ、OYW運営事務局の推薦によって選出、各国から集まるアンバサダーの前でスピーチをします。《One Young Worldでの体験が未来を切り拓く(前編)》にてレポートした報告会に続き、後編では、アミューズに入社した2021年にもOne Young World(以下、OYW)に派遣され、今年の派遣と合わせて社内でも唯一の2年連続参加となった彼女に、このサミットでの経験や受けた影響、得られた知見などについてインタビューを行いました。

《One Young Worldでの体験が未来を切り拓く(前編)》

新入社員でいきなりアミューズ派遣団に抜擢
「なんて面白い会社なんだろう」

 高校、大学と学生時代を通して東南アジアでの留学経験がある小仁井が、入社早々に当社人事部よりOYWへの参加を打診されたのは、彼女の現上司である社員が、選考時から学生時代の経歴に目を付けてくれたことが大きかったのではないかと当時を振り返ります。

小仁井「すごく驚きましたけど、同時になんて面白い会社なんだろう、と思いました。入社したばかりの社員にこんなチャンスをくれるんだ、風通しのよい会社だなと」

 昨年ドイツ・ミュンヘンで行われた"One Young World Summit 2021"は、世界的にもコロナ禍の収束がまだ見えていない状況下での開催とあって通常の1/3ほどの規模でしたが、世界各地から若者たちが一堂に会する国際交流の現場は彼女に大いなる刺激を与えました。

小仁井「コミュニケーションを取り合う中で、生まれた場所も価値観も、何もかも違う人たちとの共通項を探していく過程は懐かしくもありました。ただ、留学していたときの話題の中心は趣味や自分の好きなもの、これまでの経験でしたが、OYWでは世界が抱えている、今後解決しなければならない問題、"社会問題"について語り合うことになります。
専門的な用語、統計的な数字を交えたディスカッション、自分の語学力がまだまだであることも実感しました。同時に、自分はどれほど生まれ育った国、日本について理解できているだろう、今身近にある様々な問題についてどれくらいきちんと話すことができるだろう、と考えさせられました」

 小仁井が海外ボランティアに興味を持ったのは中学生の頃、数学を担当していた教師との出会いでした。かつてJICAの青年海外協力隊でインドネシアに派遣されていたというその教師に「向こうには何があるのか?」と訊ねたとき、「向こうには、日本にはある電気も、水道も、パソコンも、何もないけど、日本にはないすべてがそこにあったんだよ」と返ってきたその言葉に心動かされたのだといいます。
両親の力に頼らず留学する手立てを探し、高校2年生の時に文部科学省が立ち上げたばかりの奨学金制度"トビタテ!留学JAPAN"の第一期生としてインドネシアを初めて訪れたことが人生の転機となり、以降東南アジアへと幾度も足を運ぶこととなりました。当時、将来は海外に住み、現地のNGOなどで活動を続けることを思い描いていたという小仁井ですが、大学時代の最後に訪れたインドネシアのとある街での子供たちとの交流によって再び転機がやってきます。

小仁井「そこに住む子供たちは、私がこれまで出会ってきた他の子供たちと全く違っていました。彼らは、売春街の地域に住む子供たちだったんです。初対面で差別用語を言われることもありました。彼らは地元の学校にもなかなか馴染めずに、留年を繰り返している子も多く、簡単に言うと心が荒み切っていたんです。現地のNGOもお手上げで、私自身、関わる中で何度も心が折れそうになりました」

 そんなある日、子供たちからスマートフォンを貸してほしいとせがまれて、渡したことがきっかけとなり、小仁井は子供たちと唯一繋がりを持てる話題を見つけることになります。それは彼らがスマートフォンで一体何を見ていたのか知りたくてYouTubeの履歴を見てみた時のこと。履歴の中には、偶然にも小仁井自身が中学生の頃から大ファンだったという、当時当社に所属していたバンドの曲がありました。驚いた小仁井は次の日「好きなの?」と聞くと、その子供たちが目をキラキラと輝かせながら、その曲がいかに素晴らしいか、心救われたかを力強く語り始めたのです。

小仁井「そのときに"私たちの言葉は届かなくても、このバンドの言葉は響くのだと。エンターテインメントの力ってすごいな"と思いました」

 そして小仁井は改めて自身を顧みると、自身も落ち込んだ時、悔しかった時、人生のあらゆる局面で、人の言葉よりも先に、本や音楽、映画等、エンターテインメントに心を救われてきたことに思い至り、「だとしたら私は、エンターテインメントを通してこのバンドのような子供たちの心さえも動かせるような仕事がしたい」とアミューズへの入社を志しました。

スピーカーとして参加すると決めたきっかけは
担当アーティストからのある言葉

 現在、俳優の現場マネージャーを務めている小仁井。昼夜問わずアーティストと向き合う多忙な日々を送っている彼女ですが「とにかく仕事が楽しい」と語り、そのためスピーカーとして"One Young World Summit 2022"に登壇してほしいとOYW事務局から打診されたときはお断りしようと考えていたと言います。
 そんな小仁井の気持ちを参加へと動かしたのは、それまであまり英語に関心を示さなかった担当アーティストが何気なく口にした「私も英語を勉強してみたい」という言葉でした。"マネージャーは社会を変えることはできないが、アーティストの日常に寄り添う中で自分の想いや関心を伝えていける仕事だ"と、入社当時に上司から言われたことがアーティストからの一言で初めて腑に落ち、「もしそうならば、私は私で自分を高めていく努力をするべきではないか」と考えた小仁井は今回のスピーカーとしての登壇を決意しました。
 スピーチでは"エンターテインメントと社会活動との親和性について"をテーマとし、慈善活動に対して匿名が美徳とされがちな日本の現状について『タイガーマスク』を例に挙げながら、そうした美徳は尊重しつつもより広く表立った社会活動の認知を高めるためにエンターテインメントはどんな働きかけができるのかを語りました。
 小仁井が日頃から感じていることや実体験をもとに展開したスピーチは場内の関心を集め、その後の他国の参加者とのコミュニケーションやディスカッションに発展するきっかけとしても役立ちました。

小仁井「スピーチのあとに聞いていた人が集まってきて質問してくれたり、切り口は"日本のエンタメ"でしたが、それ以外の部分でも"わかるよ"と共感してもらえたり。アーカイブ動画を見てくれた人からメッセージが届いて、翌日に直接話ができたり...とても貴重な機会でした」
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(写真左から神谷明采さん、小仁井、田村洋祐さん。この3名が日本からスピーカーとして登壇した)

「One Young Worldはまさにコンフォートゾーンではない場所」

 先に行われた社内報告会では、スピーチを通じて出会ったフランスの参加者とのやり取りから生まれた〈社会問題に興味を持つことができるのは日常に余裕がある人だけなのか〉という議論と、その後たどり着いた〈原体験を持っている人は日々の忙しい生活の中でも関心を失わず、その問題を自分の言葉で語ることができる〉という答えを挙げ、〈原体験を持つには、その環境に身を置き、自分の目で現状を見ることが重要〉と小仁井は述べました。

小仁井「何かを得るためにはコンフォートゾーン(=居心地のいい場所)から出ることが大事だ、と聞いたことがあります。他人から与えられた知識ではなく、実際に自分で足を運んで、その物事の酸いも甘いも体験するからこそ、やっと自分の言葉で話せるものになるし、その経験のなかで何周も考えを積み重ねた上で出た答えが人の心を打つのだと思うんです。そういう意味で言うと、OYWはまさにコンフォートゾーンではない場所でした。周囲には、それぞれの国の中でも指折りの優秀な人材ばかりで、そんな人たちに毎日『あなたはどう思う?』『あなたの国ではどう?』って聞かれるんです。答えるためには自分の国がどういう状況かを知っていなければならないし、自分の考えを持っていなくてはいけないので、毎日毎日緊張した状態のストレスフルな環境でした(笑)」

 小仁井は、当社内においてもそうした意見交換の場をさらに活発にしていきたいと言葉を続けます。

小仁井「アミューズにいる人は、エンターテインメントに関わっているからこそ、先進的で面白い意見を持っている人、物事について深く知っている人ばかりなんです。しかし、コロナをきっかけに自分の部署以外の人と関わる機会が減ってしまった。自分の実務以外の部分で、部署、年次問わず自由に意見を交わせる場所が必要だと思うんです」

 そう語りながら「会社に入って2年目なので、チームではもちろん一番の下っ端。まだまだ学ぶべきことがたくさんで、毎日怒られてばかりです」と笑う小仁井ですが、現場マネージャーとして成長していくことと同時に、忙しい日常の中でも決して忘れ去ることなく、自分がこの会社に入った理由を持ち続けていきたい、と将来の展望を述べました。
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*社員の所属部署などの情報は2022年12月時点のものになります。

▽「One Young World Japan」オフィシャルサイト

https://oywj.org/?lang=ja

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