アミューズ人/アミューズミュージックエンタテインメント―感動を生み出すアーティストや空間を世界へ―

アミューズの財産である「人」や「モノ・コト」にフォーカスするTOPICSオリジナル企画。当社は2024年10月に組織改編・会社分割を行い、中核事業であるアーティストマネージメント部門においてカンパニー制を導入し、近年注力してきた事業においては、会社分割を通じて、新設する完全子会社5社と既存の完全子会社のKultureに移管しました。大幅な組織改編から1年が経過した今、分社化した各社へのリレーインタビューを実施。

今回登場するのは、株式会社アミューズミュージックエンタテインメント(以下、AME)のA&Rチーム室長の橘佳奈と、海外戦略部部長の湯佳寧(タン・ジャーニン)。音楽の現場を誰よりも近くで支え、アーティストと共に世界を見つめる二人。立ち上げから1年を経た今、感じている手応えとこれから挑戦したいことについて語ります。

組織の変化とともに、新しい挑戦を

A&Rを担当する橘(左)と海外戦略部を率いるタン・ジャーニン(右)

前職はレコード会社にてA&Rとして働いていた橘が、アミューズ所属のアーティストを担当していたことをきっかけに、アミューズに入社することになったのは今から3年前。

橘「当時"新しいことをしたい"と思っていたタイミングに、担当アーティストのマネージャーの方から声をかけていただいたのがきっかけです。ちょうどアミューズで音楽に特化した部署を立ち上げるということだったので、新しい環境で挑戦したいと思ったんです」

中国生まれで日本育ちのジャーニンは、上海で働いていた頃の縁で、2015年にアミューズ上海支社に入社し、海外でのライブ制作を担当。

ジャーニン「さまざまなライブの現場で、アーティストやスタッフから"日本と同じように安心してできた"と言われることが多かったんです。"日本の現場"とは何なのかを学びたくなり、一旦、アミューズは退社して東京に戻り、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の開閉会式チーム に入りました。そうこうしているうちにコロナ禍に突入して、海外でのライブやイベントの仕事がなくなり別の仕事をしていたのですが、コロナが終息したタイミングでアミューズが海外戦略を刷新するということでお話をいただき、昨年4月にアミューズに戻りました」

橘が担うのは、アーティストの発掘や楽曲制作、ブランディング、プロモーションまで、音楽制作をトータルで手掛けるA&Rという役割です。

橘「新人発掘からレーベル業務まで幅広く担当しています。アミューズは芸能事務所でもあるので、従来のレーベルとは違い、マネージメントの立場からブランディングを中心にプロモーション、ライブ、グッズ、ファンクラブ含めて包括的にアーティストを抱えつつ、業務委託でくるりさんのような外部のアーティストの楽曲制作からプロモーションも手掛けています。アーティストとの距離が近く、直接話しながら一緒に成長していける関係性を築けることが嬉しいです。アーティストとの関わり方も含めて、新しい挑戦でした」

ジャーニンが所属する海外戦略部は、アミューズ内にあった海外戦略部を昨年10月の組織改編によりAMEに移管。音楽の現場が一番多いが、俳優・声優のイベント含め、海外に関わるライブ・イベントなどのあらゆる業務を担っています。

ジャーニン「海外ツアーの相談を受けたら、どこの国のどの街の、どの会場で公演を行い、チケット代をいくらにするかといった企画立案から、ツアーマネージャー業務、終演後の精算まですべてを担当しています。音楽以外では、ファンミーティングなどのイベントの依頼もあります。Aimerさんや『ラブライブ!シリーズ』の海外でのツアーなど、アミューズグループ以外のアーティストの海外興行も含め、さまざまな国に支社を持つアミューズのネットワークを活かして主催・制作などを行なっています」 

コロナを経て再び動き出した"ライブの現場"

大盛況だった「J-POP SOUND CAPSULE @AX2025 ~Anisong World Matsuri Returns~」
「J-POP SOUND CAPSULE @AX2025 ~Anisong World Matsuri Returns~」に出演したアーティストと会場となった Peacock Theaterに集った5,000人の観客たち

コロナで一旦ゼロになったライブやイベントは、業界全体としては2022年頃から徐々に従来の形を取り戻してきました。海外公演も同じで、多くのアーティストがアジアを始めとした国で公演を行い、コロナ以前より勢いが増しています。

ジャーニン「ここ数年でアーティストの海外進出のチャンスも、各国のライブ現場のレベルも格段に上がっていて"海外だからこそできる表現"を模索できるようになりました。アジア圏の公演が一番多いですが、今年は7月に開催した北米最大級のアニメイベント『Anime Expo 2025』内でアニソンフェスティバルを立ち上げることができ、それを担当したことは大きな成果でした。国や地域によって反応がまったく違うので、毎回新しい発見があります」

アーティストに寄り添う立場の橘もまた、「アーティスト側の海外志向が強まっている」と感じているといいます。

橘「私も担当アーティストの海外進出を視野に入れていて、ジャーニンさんにどの規模の会場がいいか、どんなプロモーションが効果的か、さまざまな情報をすぐにいただけるのは本当に心強いです。日本以外の国で認知してもらい、聴いてもらえることは、アーティストにとって一つの夢であり目標です。せっかく海外に行くのであれば認めてもらいたいですし、日本に戻ってきた時に話題になるようにしたい。点で終わるのではなく、線でつながっていくようなプロモーションやブランディングをしなければいけないと思っています」

アミューズグループだからこそ生まれるシナジー効果によって、海外拠点や専門部署と連携し、よりスムーズにライブ制作ができているようです。

ジャーニン「海外ネットワークの強さはアミューズグループ最大の武器。上海、台北、香港、ソウル、カリフォルニアなど各地に拠点があり、バイリンガルスタッフが揃っています。各社と毎週オンラインで情報を共有し、現地の状況をリアルタイムで把握できるのでリスク管理もできる。グループ内には通関や生産など専門的な知識を持つ人たちもいるので、安心してツアーを組むことができるのもアミューズならではです」

橘「熱意をもって自分のやりたいことを伝えれば、"まずやってみようか"とチャレンジさせてもらえる土壌があるところもアミューズの強みだと思います。AMEの魅力としては、少人数体制ゆえに、全員がアーティスト一人ひとりに目が届き、総力戦でできることは強みかなと思っています」

ジャーニン「コミュニケーションが活発だから、話がしやすいですよね。自分がやりたいことや思いついたことがすぐに相談できる環境は、AMEの魅力だと思います」

現場で感じる、アーティストと音楽の力

分社化によりAMEが新設されてからの1年を振り返って印象に残っているのは現場のお客様の反応と話すジャーニン。

ジャーニン「今年の星野源さんのアジアツアーは熱気が本当にすごかった。お客様が泣いたり、踊ったり、歌ったり、それぞれにライブを楽しんでくださる姿をみると、この場を作れたことに胸がいっぱいになるんです。昨年アミューズで企画・主催したAimerさんの海外ツアーや同時期にあったPerfumeのアジアツアーも、コロナ明け最初のツアーだったこともあり、台北や上海の会場で涙を流しているお客様に釣られて私も泣いてしまいました。毎回、毎回、心を動かされる瞬間がたくさんあります」

橘は、芸能養成所「沖縄アクターズスクール」から当時総勢52名で結成されたB.B.WAVES(ビービーウェーブス)との楽曲制作が印象に残っているといいます。 

橘「歌唱力、ダンススキル、英語の発音すべてが想像を上回るクオリティで、アーティストとして厳しい課題をたくさん与えたのですが、努力を惜しまず期待をどんどん超えてくる。若い次世代の可能性を目の当たりにしたプロジェクトでした」

音楽が好きなら、詳しくなくても大丈夫

少数精鋭のAMEだが、ともに働くならばどんな人が向いているかを聞いてみると、二人とも声をそろえて「音楽が好きな人、でも詳しくなくていい」と答えます。

橘「客観的にリスナーとして音楽を楽しめる人がいいと思います。専門的に詳しい方の意見ももちろん大事ですが、そこまで詳しくはなくても、それ以上にアーティストの人生を背負っていると言う意味では、良いことも厳しいことも言える信頼関係を築き、愛情持って仕事に向き合える人。そしてそれぞれのアーティストにあったクリエイティブ、ライブなどで力を貸してくださる人たちを巻き込んでみんなで大きなスパイラルにしていくことができる人も、大事な役割だと思います」

ジャーニン「私の仕事は、語学力はベースとして必要です。でもそれ以上に想像力を働かせることができる人。海外の現場では思いがけないことが起こるので、可能性を先読みして冷静に行動できる人がいいかなと。状況に合わせて、観客、アーティスト、スタッフ、様々な立場の人の気持ちを想像し判断できることも大切だと思います」

そして、アーティストに寄り添い、ともに歩みながら、国境もジャンルも越えて"場をつくる"。 立ち上げから1年を経て、AMEは次のフェーズへと向かっています。

橘 「新人で言うと今いるアーティストはもちろん、これから始動するプロジェクト含めてきちんと音楽を世の中に届けられるアーティスを増やしていきたいです。現在は"wapiti(ワピチ)"という新人バンドも担当をしているのですが、まず彼らが真摯に向き合って作る音楽があって、次に我々スタッフがバトンを受け取り、その音楽をより多くの方々に届けるための戦略を考案し実施していく。アーティストとスタッフそれぞれの役割を全うするという意味でチームとして一緒に少しずつ階段を上っている実感があります。10月に行ったばかりの初めてのワンマンライブが即完したときは、本当に嬉しかったですね。今後は、ジャーニンさんに相談しつつ、アジア進出なども視野に入れています」

ジャーニン「ご一緒しているアーティストと、次は規模を広げて、海外市場を切り拓いていくことはもちろんですが、 日本のアーティストを海外に広めることをメインにしながらも、今後は"海外のアーティストを日本に呼ぶ"ことにも力を入れていきたいです。日本のマーケットに合う海外アーティストがいないか、常にアンテナを張っています。さらに言えば、日本と海外のアーティストが一緒にワールドツアーを回れたらいいなと。実は今年、それが叶いそうだったのですが、諸事情で中止になってしまったんです。いつかリベンジしたいですね」

新たな体制のもと、「心が動かされる瞬間」を生み出すために。アミューズミュージックエンターテインメントは、音楽への情熱を胸に、これからも挑戦を続けていきます。

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