アミューズ人/ナイトウォーク制作チーム/「ナイトウォーク」制作秘話 ―"たのしい"があれば何でもできる―

アミューズの財産である「人」や「モノ・コト」などにフォーカスするTOPICSオリジナル企画。今回は、開催2年目を迎えた夜の遊園地を舞台にした体験型アトラクション「ナイトウォーク~クライの森と6つの星~」のモノづくりにフォーカスし、制作チームの中心人物である第1プロデュース部 池原正洋(いけはら まさひろ)、第2プロデュース部 沼尻裕子(ぬまじり ゆうこ)、第8プロデュース部 下井健一(しもい けんいち)、スポーツ&アドベンチャー事業部 大野新(おおの あらた)による座談会を実施。通常業務では音楽、俳優のマネージメントやライブ、舞台制作などを行っているメンバーが、部署の垣根を越えて「ナイトウォーク」制作チームとして新たなモノづくりをスタート。今だからこそ言える制作秘話や見どころなどを中心にトークを繰り広げました。

*「ナイトウォーク~クライの森と6つの星~」概要は関連記事をご覧ください
https://www.amuse.co.jp/topics/2023/03/6_1.html

「ナイトウォーク」誕生のきっかけとは
こだわりぬいたストーリーづくりと試行錯誤を繰り返した1年目

―2021年7月に当社が本社を山梨県に移転し、地域の事業者や団体と連携しながら〈自然環境を活かしたコンテンツ・サービスの開発〉、〈施設やエリアの再創生〉といった共創事業の展開を目指していく中で、第一弾として西湖エリアで音楽と光の花火ショーをメインとしたイベント「FUN OUT! ~FIREWORKS ON SAIKO~」を同年12月に開催。そのイベントの終了後、程なくして入った連絡が「ナイトウォーク」誕生のきっかけでした。

沼尻:会長(代表取締役会長 大里洋吉)からの指名を受けて、私と下井さんで本社の近くの西湖エリアで「FUN OUT! ~FIREWORKS ON SAIKO~」をやらせてもらったのがはじまりだったと思います。終了後に会長から「次は富士すばるランド(山梨県富士河口湖町)でのコンテンツを考えてほしい」とお題をいただきまして、花火の制作チームの一人だった池原さんと共に、もっと制作に人が必要だよねという話になり、マネージメント経験もあり、ライブ制作などの知識も豊富な大野くんに一緒にやらないかと声を掛けたんです。チームメンバーと話していくなかで、単発イベントではなく継続的に開催できるものにアイデアを絞り、この場所で何をやったら面白いのか? と話していく中で、当時デジタルアートの演出として海外でも話題になっていた"ナイトウォーク"をやったら面白そうだよね、と早い段階で大枠の部分は見えてきていました。

大野: "夜の遊園地"というキーワードも当初からあったのですが、すばるランドの閉園時間が17時なので閉園後の時間帯を活用し、ただ回りながら園内を見てもらうだけではなく、タブレット端末を一人一人に持ってもらいストーリーを楽しめる、テクノロジーを使った体験型コンテンツもできるのではないかと話が盛り上がりました。

池原:ストーリーの制作部分は社外の制作会社に入っていただいているのですが、その前段階で設定やテーマなどは相当このメンバーでディスカッションをして吟味しました。ストーリーだけで何度打ち合わせを重ねたことか...。下井さんが「遅くなってもいいからみんなで集まろう」と熱烈に盛り上げてくるので(笑)、毎週打ち合わせをしていました。ある程度まとまったら「よし、飲みに行こう!」と言い出すので、毎回大野くんが止めていましたね(笑)。

下井:僕がみんなをけしかけたことになっていますが、この打ち合わせで一番テンションが高かったのは池原さんでした(笑)。制作会社との折衝は僕がメインに担当していたのですが、このチームメンバーでの事前打ち合わせで、「善と悪・光と闇・現実とフェイク」というワードが沼尻さんから上がってきていたので、こちらで簡単なイメージ画像などを作成してから制作会社へ相談しました。当初は夜の遊園地というところから、「残留思念」や「拡張写真機」などといった少しホラーっぽさのあるテーマも出ていたのですが、そこからもう少しお子様にも楽しんでいただけるようなものにしようと落とし込んでいきました。

開催2年目の昼間は「ナイトウォーク」の"エピソード0"となるストーリーを体験できる「クライパニック ~スマイル救出大作戦!~」も開催中
「FUN OUT! ~FIREWORKS ON SAIKO~」花火ショーの様子
富士すばるランド敷地内では、他にも世界の名作映画を楽しみながら、ビールとピザを堪能できる「PIZZA CINEMA」を期間限定で開催した


―こうしてオープンに向けてスタートをきった「ナイトウォーク」ですが、そこからストーリーづくりとそれらを表現する演出面について、何度も何度も試しては修正するという繰り返しだったと当時を振り返ります。

下井:ストーリーの"オチ"に至るまでの大筋は決まっていても、「なぜプレア(主人公の案内人)がこう行動するのか」、「その理由で本当に筋が通っているのか」など、キャラクターの心理やストーリー展開の細部までこだわって、相当な時間をかけました。あとは例えば、ラストシーンでLEDのスクリーンを使った演出があって、スクリーンを設置するためにトラスという基礎となる柱のようなものを建てるのですが、実際に組んでみたらトラスの地の色(シルバー)が暗闇で目立っていたのがすごく気になって、チームメンバーに意見をもらいながら最後は暗闇に溶け込むカラーに変更したりとか、こういう小さな見せ方一つとってもこだわっています。

大野:「六連星(むつらぼし)=スバル」というキーワードもかなりストーリーの中で軸となるものだったので、それをどう表現するかということも難しかった点でした。最初はドローンを飛ばして表現してみようかというアイデアもありましたね。照明まわりは僕がメインに進行していて、楽曲や音響まわりとリンクさせるために計算しているのですが、例えば楽曲に変更が生じた場合、曲の長さが変わればその他の照明や映像もすべて修正をしないといけなかったり...。本当にそういう部分ではオープンする直前まで修正していましたね。

池原:自分は楽曲や音響まわりをメインに進行していたんですが、セリフが出来て、この楽曲をどの部分から流すかとか、タイミングはたくさん調整しました。このタイミングで曲のこの部分をぶつけたいと思うとセリフの位置も調整しなければならなかったり、15分ごとにお客さんを各エリアに案内するという時間の制約もあったので、しっかりとストーリーを体験してもらいながら次のエリアに向かって歩き出してもらうために、曲を流すタイミングや長さも何度も調整しましたね。

沼尻:実際にコースに沿ってストーリーを追って体感してみたら、「あれ?違うかも」ということも多々あって。特に、お客さんはタブレットを持って歩いているので、タブレットの中で表現しているものとリアルな外の世界での照明や、その他の演出部分の見せ方がすごく難しいんです。それまでタブレットに集中しているお客さんの視点を、タブレット外に向かせるにはどうしたらいいのか...ということは、これまでのライブ制作業務の中ではあまり経験のないことだったので、今回そういった点はすごく勉強になりました。

今年の開催は10月末まで!
制作チームメンバーが選ぶ「ナイトウォーク」の見どころとは

-開催2年目を迎え、初年度の課題をもとにブラッシュアップしながら、何度も楽しんでもらえる要素を盛り込んだ今年。シューティングゲームのように得点によってランクが表示されるゲーム性を持たせた演出を追加したり、「ナイトウォーク」をより楽しんでいただきたいという制作チームの推しポイントや見どころについて園内マップを見ながら聞きました。

下井:「ミエナイノ森」から「不動ノ回転木馬」へと続く一本道が個人的には一番好きなスポットです。でも、何と言っても試行錯誤して出来上がったラストシーンはぜひ注目してもらいたいですね。ただ楽しい、面白いだけではない驚きと感動のラストシーンは、この作品のハイライトと言えると思います。

沼尻:「ハジマリノ部屋」というナイトウォークのエントランス部分にある巨大なクライバルーンは2年目から始まったフォトスポットなので、ぜひご来場の際は記念に写真撮影していただきたいです。あとは、ストーリーの途中で主人公のプレアがさらわれてしまうシーンがあるのですが、この映像演出も気に入っています。

大野:SLから見える光の演出ですね。SLの照明を消すことで外側を彩る光がより視覚に入るようになっているので、ぜひ注目していただきたいですね。1年目に使った機器の数を、今年は倍にしているので、その力の入れ具合も見ていただきたいです(笑)。

池原:スピーカーを道の各所に埋めているのですが、音量が大きすぎず、でもしっかり耳に入ってくるようにするためにこだわっているので音響部分には注目いただきたいです。あとは「キングクライの棲家」でのバトルの後、「忘れ去られた先代支配人の部屋」という小部屋に入るまでのストロークがすごくお気に入りです。照明もそうですし、あの道があるからラストへ向かう気持ちに持っていけるというか。この部分は大変有難いことに大人の方の心にも刺さるようで、いつも泣きながら出口までの坂道を下ってくるアミューズ社員もいるんですよ(笑)。

「ナイトウォーク」園内マップ。夜の富士スバルランド内を約60分ほど歩きながらストーリーを体験できる
「ハジマリノ部屋」というエントランスに出現した巨大な"クライ"バルーン
「不動ノ回転木馬」に続く一本道。どこからともなく聞こえる声にもご注目
「SLすばる号」から見える光の演出
「忘れ去られた先代支配人の部屋」に続く通路

"たのしい"があれば何でもできる
アミューズの面白さを再認識した制作チーム

―当社の人もモノも関係なくあらゆることを"プロデュースする"という業務において、このような新しいモノづくり・コトづくりを始めることは非常にエネルギーを要することだと思います。プロデューサーとしてのモチベーションや、原動力はどこから生まれているのか、話を聞きました。

大野:1年目は、お客さんのアテンドも含めた運営スタッフをアミューズ社員に手伝ってもらったのですが、今思えば、この環境はとても安心感がありましたね。アルバイトさんにマニュアルを渡して説明をして、瞬時に理解してもらって実際に動いてもらうことは難しいこともあって。アミューズ社員は、少し説明をしただけで良い意味で勝手に動いてくれて、提案や改善もしてくれて...アミューズの社員力ってこういうことなんだなと感じた瞬間でした。

沼尻:アミューズのみんなが本当に前向きで、こちらが何かを言わなくても「ここはこうした方が良さそうなのでこうしてみました」と改善の提案をしてくれたり、一緒につくっている感じがすごく楽しかったですし、この1年目があったからこそ、2年目の運営に繋がったように感じています。

池原:「ナイトウォーク」制作チームのメンバーがとにかくポジティブなんですよ。どんなに大変なことでもネガティブな発言が無いからお互いに嫌な気持ちにならないんですよね。最後は「楽しかったな」って思えるんです。メンバーに助けられたなという気持ちが大きいですね。

下井:何をするにも「絶対に面白くしよう」っていう気持ちがありましたね。社内の諸先輩方も含めて、なんでも楽しんで面白がる人が多いと思うんです。これってアミューズマインドなのかもしれないですね。

大野:制作を通じて、"たのしい"があれば何でもできるんだな、ということを痛感しました。僕目線での感想になってしまいますが、沼尻さんが面白い演出のアイデアをぐいぐい考えて、池原さんがお兄ちゃん気質でムードを作ってくれて、下井さんがリーダーとしてまとめる...もちろん制作チームには他にもメンバーがいて、みんな揃ってこそですが、このチームの雰囲気が本当に楽しいなって思いながらできました。"やりがい"って、やっている仕事だけじゃなくて、"人"なんだなと再認識できましたね。

*社員の所属部署などの情報は2023年9月時点のものになります。

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体験型アドベンチャー「ナイトウォーク ~クライの森と6つの星~」が【デジタルえほんアワード2022】を受賞
https://www.amuse.co.jp/topics/2022/11/_62022.html

▽「ナイトウォーク~クライの森と6つの星~」オフィシャルサイト
https://www.cry-forest.com/

▽「富士すばるランド」オフィシャルサイト
https://www.subaruland.jp/

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