アミューズはこれまで、「感動だけが、人の心を撃ち抜ける」という理念のもと、アーティストとともに様々なコンテンツを世の中に届けてきました。
しかし、私たちが注力してきたものはそれだけではありません。アミューズはあらゆる人が心からエンターテインメントを楽しめる世界をつくるために、時代・場所・性別・思想を超えて「誰もがより良く生きられる自由」を追求しながら、多彩な社会貢献活動を展開してきました。
そのうちの1つが、"ヤング・ダボス会議"とも呼ばれる、次世代リーダーの育成と国際交流を目的とした世界最大級の国際フォーラム『 One Young World Summit(以下、OYW)』への自社アーティストや社員、一般公募生の派遣です。世界の190を超える国や地域から、18~32歳を中心とした若者たち2,000名以上が参加し、様々な社会問題について議論を交わすOYW。アミューズでは2015年より関わりを開始し、活動は今年で10回目 を迎えます。
そこで今回、この取り組みを推進してきた代表取締役会長 兼 社長の大里洋吉と、OYW参加経験者3名による座談会を実施。アミューズがなぜOYWに参加し続けるのか、OYWへの派遣によってどのような経験が得られ、それが現在にどう活きているのかについて、それぞれの想いや考えをじっくりと語ってもらいました。
<プ ロフィール>
■大里洋吉
株式会社アミューズ 代表取締役会長 兼 社長
■藤﨑愉奈
韓国の大学を卒業後、2023年4月に新卒でアミューズに入社。現在は俳優 のマネージメントに携わる。イ ギリス・北アイルランド地方のベ ルファストで開催された、2023年のOYWに参加。
■市川太一
2014年と2015年に学生として 、2016年にアミューズ社員枠で、2021年に招待枠でOYWに参加。培ってきたネットワークを活かし、退社後2019年にWorld Road を設立。企業におけるサステナビリティ活動の支援や教育機関でのキャリア教育などを手がける。
■南光開斗
法政大学現代福祉学部2年生。ALSを患う母親がおり、ヤングケアラーと不登校を経験。「選択肢の情報格差の解消」を掲げ、難病患者・ケアラーへ社会資源や生き方の情報を届けるNPO Inforaを立ち上げる 。こども家庭庁こども家庭審議会委員。2023年のOYWにアミューズ派遣団として一般公募枠で参加。
「若者に世界を経験してほしい」 アミューズがOYWに関わり続ける理由

――アミューズは、2015年からOYWに参加し続けています。OYWの話を受けた際、大里会長がアーティストや社員の派遣を即決したと聞きましたが、なぜそのような決断を下したのでしょうか。
大 里:簡潔に言えば、若い人たちに世界を経験してほしかった。それに尽きます。僕はもともと海外志向が あって、欧米を中心に何度も海外に足を運びました。現地のコンサートなど、いろいろなものを見て、影響を受けてきたんですね。そんな風に日本以外の様々な国の文化や考え方に触れる機会を、日本の若い人たちにも持ってもらいたかったんです。
――そうした大里会長の想いを受け、市川さん、藤﨑さん、南光さんはなぜOYWに参加を決めたのか、理由や背景をお聞かせください。
藤﨑:私は幼いころから外国にも自分のルーツがあり、韓国の4年制大学に進学後、在学中には半年間ヨーロッパで過ごしたことから、社会人になっても世界とのつながりを持ち続けていたいと考えていました。アミューズがOYWに派遣していたことは入社する以前から知っていたので、入社したら絶対に参加してみたいと思っていたところ、2023年にチャンスをいただきOYWへ派遣してもらいました。
市川:僕の場合、もともとバックパック旅行が好きだったこともあって、多様な社会問題の解決に挑む世界の人たちと直接会って話がしてみたいと思ったことが大きな参加理由でした。
南光:僕も市川さんと同じ想いです。OYWへの応募時は、「社会を良くしたいと願いながら活動をする世界中のリーダーが、一堂に会する場なのだから、絶対に楽しいものになる」と確信めいたものを抱いていました。
大里:南光くんは、社会福祉の領域で活動をしているんだよね。それもOYWへの参加理由だったでしょう。
南光:そうなんです。難病患者やそのケアを行う方々へ、必要な情報を届けるデータベースの構築に取り組んでいます。というのも、実は僕が小さい頃、母親がALSという難病を患い、寝たきりになってしまったんです。僕自身、ヤングケアラーとして介護を担い、不登校も経験。しんどさを感じていた時期がありました。その経験を、かつての母や僕のような人たちのために活かしたいと思っています。また、現在入院している母のために、僕自身ができることも探していきたい。今後に活かせる学びが得られたらと思ったのも、OYWへの応募を決めた理由です。
参加者同士で築かれる深い絆。派遣後も互いに刺激を与えあう存在に

――OYWに派遣するメンバーを決める選考では、大里会長自ら面接官を務めていますよね。
市川:最終選考の面接官が大里会長です。候補者一人あたり30分~1時間かけて、じっくりと話を聞いてくださることに驚いたのを覚えています。面接で大里会長は、各候補者の良いところは褒め、伸びしろがあるポイントは指摘してくれて、個人的に大きな刺激を受けた時間になりました。
大里:若い人たちと話すのは、やはりおもしろいですよね。純粋なものを持っているし、今の時代の様相も分かってくるから。それこそ南光くんは、お母さんの介護をきっかけに社会福祉への貢献を目指していろいろな活動をしているけれど、面接をしたとき彼はまだ10代でした。南光くんのような子の話を聞いていたら、こちらも自ずと真剣になりますし、僕としても得るものは多いんですよ。
南光:最終選考は本当に緊張しました。大里会長は面接の中で僕の想いや言葉を拾ってくださって、渡航前の壮行会でも声をかけてくださいましたよね。その一言一言が自分の考えを深めるきっかけになり、OYWの参加期間を有意義なものにしようと心構えができたので、本当にありがたかったです。選考も含め、大里会長と対話した時間はこの先も生涯、記憶に残るのではないかと思います。
大里:そんなに気を遣わなくていいよ(笑)。
南光:そうおっしゃってくださいますが、大里会長とは本当にとても楽しく、将来に活きる時間を過ごさせてもらったと思っています。
大里:参加者とアミューズとの間にピュアな関係性が続いているのも、ありがたいことだなと思いますね。OYWの参加者が集まると聞けば、僕も行きたくなりますし。OYWを経て生まれたつながりは、会社の財産になっていくと思います。
――日本からの参加者同士で、今でもつながりはありますか?
南光:そうですね。同じ時期に参加した人だけでなく、アミューズから派遣された歴代の参加者とも壮行会などを通じてつながっています。加えて、OYWの会場で出会った世界の人たちとも、SNSなどを通じてコミュニケーションを取り続けている人が多い印象です。
市川:本当にたくさんの人と出会えるのが、OYWに参加する醍醐味のひとつですよね。僕もOYWを通じて、当時は学生で現在は国内の大手メディアでドキュメンタリーを作っている人や映画を撮っている人、国際機関・ベンチャーキャピタルで働いている人など、多様な業界で活躍する知り合いができました。彼らは現在も、OYWで得たものを活かしながら、それぞれの場所で世界を動かそう、人の心を動かそうと頑張っています。その姿を見るたびに、僕ももっと努力しなければと刺激をもらいます。

――ちなみに、南光さんは一般公募枠(*1)での参加です。アミューズの社員やアーティストとOYWに参加して、いかがでしたか?
南光:アミューズのチームに加えていただいて、本当に心強かったです。事前の参加者ミーティングや壮行会で結束を深め、歴代の参加者にいろいろな話を聞いた上で参加できるのは、アミューズの公募枠でOYWに行くメリットだと思います。アミューズの皆さんと話す中でエンターテインメント業界の一端を知れたのも、とても良い経験でした。
藤﨑:私はアミューズの社員枠でOYWに参加しましたが、同じチームの一員として、南光くんから学びを得ることも多かったです。普段はエンターテインメント業界でのコミュニケーションが中心になってくるので、南光くんをはじめ様々なバックグラウンドを持つ人たちと行動して、話をすることで、視野が広がりました。
>>座談会はさらに続きます。OYWへの参加経験が現在の活動にもたらしているものとは?
▽アミューズコーポレートレター/視野が広がり、人生が変わった。One Young World参加者が語る現在と未来【座談会・後編】
https://www.amuse.co.jp/topics/2025/07/one_young_world_2.html
(*1)アミューズの「One Young World Summit」への一般参加者の派遣については、今年度は一般財団法人みらいエデュテインメント財団にて実施し、参加者を募集いたします。
*社員の所属部署などの情報は2025年6月時点のものになります。