アミューズ人/アミューズスポーツエージェンシー ―アスリートの価値を創造し スポーツを「エンターテインメント」に―

アミューズの財産である「人」や「モノ・コト」などにフォーカスするTOPICSオリジナル企画。当社は2024年10月に組織改編・会社分割を行い、中核事業であるアーティストマネージメント部門においてカンパニー制を導入。近年注力してきた事業は会社分割を通じて、新設した完全子会社5社および既存の完全子会社であるKultureへ移管しました。大幅な組織改編から1年が経過した今、分社化した各社へのリレーインタビューを実施。

今回登場するのは、アミューズグループの総合力を活かしながら、スポーツを「エンターテインメント」として再定義し、社会の中に新しい価値を生み出す、株式会社アミューズスポーツエージェンシー(以下、ASA)の代表を務める坂田淳二。分社化後、スピード感が増したという坂田の「アスリートを支える」だけでは終わらない挑戦に迫ります。

偶然の出会いで見つけた、自由に動ける場所

自身もアジア初の欧州プロアイスホッケー選手として海外でプレーし、その後、アスリートのマネージメントやエージェント業務、アプリ開発など、スポーツビジネスの幅広い領域でキャリアを重ねてきた坂田。アミューズに入社したきっかけは、偶然の出会いでした。

坂田「当時のアミューズの役員の方と食事の席で偶然お会いする機会があり、スポーツビジネスを始めると聞いたんです。ただ内容を聞いて、エンタメ企業ならもっと違った角度でスポーツビジネスにチャレンジすべきだと思ったので、その場で"もっとほかにやり方があるのでは?"と議論したのがきっかけです」

その時点では、坂田がアミューズへ入社する予定はありませんでしたが、一方で「自分ができるスポーツビジネスはひと通りやり切った」という感覚もあったタイミングだったといいます。しばらくしてアミューズから、「まずは1年、会社の中を見てほしい」と声がかかり、2017年に社員としてジョインすることになりました。

坂田「入社当時はスポーツ選手をはじめ、さまざまな文化人が所属するスポーツ文化事業部があり、アスリートを文化人として位置づけてメディア営業のみを行うマネージメントをしていたんです。でも、これではビジネスとしての広がりに限界があると感じました」

2020年の東京オリンピックを見据え、多くの企業がスポーツビジネスに参入し始めていた時期。坂田が見据えていたのは「オリンピックの‟その先"」でした。

坂田「オリンピックが一つの山になるのは分かっていましたが、僕は"東京オリンピック後に何ができるか"を仕込む方が大事だと思っていました。そのためには、スポーツをエンターテインメント化する必要がある。アミューズには音楽や映像、舞台、グッズの製作やデジタル領域など幅広いモノづくりのリソースが揃っていて、ここでならもっと新しい挑戦ができると思いました」

今でこそ男子プロバスケットボールリーグ「B.LEAGUE」の盛り上がりなど、スポーツがエンターテインメントとして語られことが増えましたが、当時はまだ「スポーツ=競技」という枠組みが強かったと言います。そこで、坂田はスポーツ選手のみが所属し、スポーツで事業を開発する"スポーツビジネス事業部"を社内で立ち上げました。

坂田「立ち上げは僕ともう一人だけ。バレーボールの竹下佳江さん、プロ選手になる前の柳田将洋選手、まだマラソン選手ではなく陸上長距離の大迫傑選手など、あえてオリンピックを狙える方に声をかけました。課題は、アスリートのビジネスをどう作るか。メディアで一時的に注目されてもアセットは残らない。価値をメディアで上げ、その先にスポンサーや新規事業をつなげていくストック型の仕組みを作る。この考え方を理解してもらうまでが大変でした」

現在は柳田選手のほか、バスケットボールの富樫勇樹選手、瀬川琉久選手、陸上短距離の桐生祥秀選手、女子バレーボールの宮部藍梨選手、水泳の入江陵介選手など、各競技を代表するトップアスリートがASAに所属しています。所属基準は「強さ」だけではありません。

坂田「"自分たちの業界をどうしたいか"という意志のある方とご一緒したい。柳田選手はスクールやファンクラブ、アパレル事業を展開し、富樫選手もイベントを主催するなど、メディア露出を"自主事業を広げるための手段"として使う考え方がようやく共有できるようになってきました」

「人」だけでなく、「コト」「モノ」「場所」へ広がる事業領域

スポーツビジネス事業部が分社化し、ASA設立から一年。「人」だけでなく「コト」「モノ」「場所」のプロデュースへと領域を拡大しています。

坂田「アスリートだけでなく、スポーツメーカー、サッカーチーム、遊園地などの課題解決、いわゆる"スポーツマーケティングコンサル"にも力を入れています。"スポーツを使って課題を解決したいや発信したい"といった相談に対して、企画からプロデュースまで伴走しています」

特に力を入れているのが、富樫勇樹選手を軸にしたスポーツと音楽のクロスカルチャーイベント「UNAVERAGE FES.」です。

坂田「コンバースさんとは、シューズ提供やCM出演だけでなく、フェスのスポンサー、会場での物販、アパレル、オリジナルシューズの開発など、さまざまな事業を一緒に展開しています。こうした形でただのスポンサーではなく、自分たちの事業につなげていくパートナーであることこそ、スポーツビジネスのど真ん中にあるべきだと考えています」

「UNAVERAGE FES.」は、バスケットボールと音楽を軸に、柔道やクライミングなど他競技のアスリートも参加し、多様な文化が交差する場所となっています。

坂田「きっかけはフィギュアスケートの羽生結弦選手。一人でドーム公演を成立させるアスリートはなかなかいません。バスケットボールでも同じようなことができないかと考え、富樫選手に声をかけました。バスケットボールだけではなく、他競技のアスリートやアーティストが参加することで、クライミングのファンがバスケットボールを知り、バスケットボールファンが柔道を知り、アーティストのファンがスポーツイベントを体験する。そうした"交わり"から新しい文化を生み出せたら良いなと思っています」

背景には、2026年から始まる「B.LEAGUE PREMIER(Bプレミア)」のホームアリーナを稼働させるという課題もあります。

坂田「トップリーグのBプレミアになるには5,000人規模のホームアリーナの確保が必要で、各クラブが自治体などと整備を進めていますが、ホームゲームは年間20試合前後。それ以外をどう稼働させるかが大きな課題です。『UNAVERAGE FES.』のようなアスリート主導のイベントが一つの選択肢になれば、地域や企業とアスリートが組んでアリーナを活用できる。スポーツで地域の経済や文化も動かせるはずです」

これまでの経験が活きた、山梨でのプロジェクト

ASAは地方自治体やスポーツ関連企業とのコラボレーションにも積極的に力を入れています。その一つが、山梨県富士吉田市との取り組み。外資アウトドアメーカーと富士吉田市との包括連携協定を企画プロデュースし、休眠施設をリノベーションして登山者やインバウンド向けのスポーツ体験拠点を作っています。

坂田「"中の茶屋"という山小屋を改装して、レンタルシューズ、物販、カフェ運営を行っています。富士山の登山口に向かう道の整備も進めていて、将来的には使っていない山小屋をどのように活かすかということについても話し合っています」

登山者の安全面や、ガイドの働く環境の改善にもつながるプロジェクトです。

坂田「これまでガイドさんたちには集合場所がなく、コンビニに集まって山に入るケースも多かったのですが、今は中の茶屋を集合場所かつイベントスペースとしても使ってもらっています。駐車場もありますし、インフォメーションセンターとしての役割も果たせる。事故防止や地域課題の解決にもなるので、新しいチャレンジにつなげていけたらと思っています」

かつて山梨県内でアミューズが手がけたアウトドア事業での経験やネットワークも、現在の事業に活きていると話します。

2025年7月には、スケートボードカルチャーを発信するアメリカのWEBメディア「THE BERRICS」がプロデュースしたスケートボードエリアが富士急ハイランド内にオープン。新たなカルチャー発信拠点として注目を集めており、ASAもプロデュースに関わっています。

坂田「日本初の世界基準のスケートボードパークで、今度、日本代表がここで合宿を行うことも検討されています。国内にいても世界基準で練習できる環境を整え、カルチャーごと価値を育てていきたいと思っています。スケートボードは日本では"競技"としての認識が強いですが、スケボー選手は海外ではファッションや音楽と結びついたストリートカルチャーのアイコンとして大スターです。ヨーロッパやアメリカのように、カルチャーとして受け入れる流れを日本でも作りたいですね」

今後力を入れるのは、海外展開、女子スポーツの価値向上

これからの展開については、海外関連での売上の比率を上げることが目標だといいます。

坂田「アスリートやコンテンツ、日本の企業・チームを海外に送り出すこと。反対に、海外で日本に進出したい企業やチームを日本につなぐこと。インバウンドも含め、双方向の動きを増やしていきたいです」

ASAの取り組みを強力に後押ししているのが、アミューズグループのシナジー。前述の「UNAVERAGE FES.」では、ライブ制作、PR、アーティストのブッキング、グッズ製作、デジタル施策など、アミューズグループを横断した形で実現しました。

坂田「スポーツ単体ではできない企画も、エンタメに必要なすべての機能が揃っているアミューズと組めば実現する。これは他社には真似できない強みです」

社員は現在9名。外部パートナーを含めるとプロジェクト単位では大規模なチームが動きます。

坂田「プロデュースとは、全部を自分たちで作ることではありません。アイデアを考え、全体の指揮を取り、担当レイヤーごとのプロに任せる。外部の力をどう巻き込めるかが鍵だと思うんです。だからこそ"面白がれる人""仕事を楽しめる人"と一緒に働きたいです」

スポーツが"好き"であることは必須ではないといいます。

坂田「むしろ、スポーツに興味がない人の視点が欲しい。一般の人がなぜ観ないのか、何が面白くないのか。それを一緒に考えて企画に落とし込める人がいたら、スポーツの可能性はもっと広がりますから」

そして、立ち上げ当初からの大きなテーマが、女性スポーツの価値向上です。

坂田「日本の女子スポーツは、スポンサーや露出、キャリア継続の面でまだ仕組みが追いついていない部分が多いので、ここを新しい仕組みに変えていきたいです」

その中心にいるのが、女子バレーボールの宮部藍梨選手です。

坂田「宮部選手は頭も良く、自分の意見をしっかり持っていて、『業界のためになるなら言うべきことは言う』という覚悟もある。新しいアスリート像を体現できる存在だと思っています。いずれは女子アスリートが集まる新しい場やフェスも作りたい。富樫選手のような役割を担う女子アスリートが出てきたら、女子スポーツの風景は大きく変わるはずです」

最後に、仕事において大切にしていることを聞くと、少し考えてからこう切り出しました。

坂田「大谷翔平選手になりたいなら、本を読んでいるだけではダメで実際にバットを振るしかない。僕が引退後に起業したときも、スピードを持って決断して"まずはやってみる"ことを大事にしてきました。やってみてダメなら直す、良ければもっと良くする。とことんやってダメなら辞めて次の新しい挑戦という打席にたつ。このサイクルをどれだけ早く回せるか。もちろん最初は怖さや迷いはありますが、その決断のスピードに慣れてしまえば問題ありません。逆に判断せずにただ時間だけやり過ごすことこそリスクだと思えるようになります(笑)。スポーツからの学びは、常に自分の根底にあります」

アミューズグループの総合力を背景に、スポーツをより豊かで、自由なカルチャーへ。アミューズスポーツエージェンシーの挑戦は、ここからさらに加速していきます。

*社員の所属部署などの情報は2025年12月時点のものになります。

この記事をシェアする

  • Xでシェア
  • Facebookでシェア
  • LINEで送る
abcdefghijklmnopqrstuvwxyzABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZ 0123456789>./abcdefghijklmnopqrstuvwxyzABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZ 0123456789>./abcdefghijklmnopqrstuvwxyzABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZ 0123456789>./abcdefghijklmnopqrstuvwxyzABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZ 0123456789>./abcdefghijklmnopqrstuvwxyzABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZ 0123456789>./abcdefghijklmnopqrstuvwxyzABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZ 0123456789>./abcdefghijklmnopqrstuvwxyzABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZ 0123456789>./